宇都宮線の新聞輸送列車(541M・13:08発宇都宮行)

関東圏で行われている数少ない新聞輸送列車を調査しました。2018年1月27日(土)に上野〜宇都宮間で、当該列車に実際に乗車する形でデータを取りました。

上野始発の新聞輸送列車は3本あり、それぞれ取材しました。タグ:新聞輸送列車

上野駅構内

12:10 早版の販売開始

駅売店で夕刊紙の早版の販売が開始され始める。駅構内の配達拠点から、売店1つずつに台車を使ったり担いで配達しているため、12:40頃になっても引き続き夕刊紙を売店に配達・設置している様子が見られた。上記の写真は、配達の手順の関係か、いったん柱の陰に置かれた夕刊紙の束である。

なお、新聞の配達に携わる者は、下記の3社が確認できた。

  • 普段着の上から緑色のビブス型ゼッケンを着用した者
    • 13番線の脇や17番線の脇の配達拠点から、各売店に夕刊紙を輸送する
  • 夕刊紙のロゴ? が入った黒色のジャンパーを着用した者
  • 淡緑色の作業服を着た者(株式会社報知エキスプレスの社員)
    • 新聞輸送列車に携わる

12:30 高崎線の新聞輸送列車が発車

調査日は、ダイヤが乱れていたために運休となり、後続の列車に積載されたようだ。高崎線についても、調査を行った(関連記事を参照)。

12:52 ターレー登場

宇都宮線に積み込むための新聞を積載した台車2両を牽引したターレーが、13番線ホーム上東京方の扉から現れた。

12:56 折り返し541Mが到着

折り返し541Mの列車が、回送扱いで到着した。

荷物扱いがある旨の放送が流れ、3ドア分だけを開けて車両の中に新聞の束を投げ入れる。積載完了し次第ドアを半自動扱いにして乗車できるようになる。

この際、積載作業をしたうちの1人は、束の確認や取り卸しをしやすいように仕分けや並べ替えを行う。途中駅で新聞の取り卸し作業をしつつ、宇都宮まで添乗する。

荷物室・荷物用の幕

宇都宮線での新聞輸送では、写真のように幕を使って荷物室として区切られる。

ドアの幕は上野駅時点では左側に付け、発車後右側に付け替える。大宮駅発車後までは付けているが、それ以降ではわざわざ最後尾の車両に乗ってくる人がとても少なくなるので、適当なところで外すようだ。車内に張られる「荷物用」の幕は、雀宮発車後に外す。

積載している新聞の種類

複数の種類の新聞を同じ宛先ごとに束ねているところもあって、どの新聞が積載されているのかは分からない箇所も多かった。たとえば、下記写真では、日経新聞と東スポ、それに加えていくつかの新聞が1つの束となっている。

全体的な印象としては、夕刊三紙(東スポ、フジ、ゲンダイ)と、一般紙では読売と毎日が目立った。宛先の新聞販売店で読売センター(YC)が多いのも関係しているのだろうか。日経・朝日はわずかだったが、読売や毎日の下に重ねられていたのかもしれない。南関東のみでの発行となる東京の夕刊があるかどうかは確認できなかった。

新聞の版次と印刷所は、下記の2点についてはほとんど確実である。

  • 東スポ、B版・越中
  • 読売、3版

積載方法

10両編成の列車の最後部(上野方)を、3ドア分使用する。乗務員室に最も近い方のドアから123とドアに番号を振ると、概ね下記のように積載するようだ。

  • 1番ドアは、宇都宮以遠に運ぶもの
  • 2番ドアは、途中駅で取り卸しするもの
  • 3番ドアは、宇都宮宛と日光線沿線へ運ぶもの

途中駅での取り卸しは、2番ドアを用いる。

宇都宮まででの取り卸し

13:45 蓮田

駅売店宛か、1束。受け取りに来る人はなく、ホーム上に放り投げていた。

13:49 白岡

駅売店宛か、1束。緑色の腕章をした人が受け取り。

14:01 久喜

新聞販売店宛か、1束を1人が受け取り。

14:05 東鷲宮

駅売店宛、1束をNewDaysの店員さんが受け取り。新聞の束には「東鷲の宮」と記載されていた。

14:16 古河

新聞販売店(古河南部YC・古河北部YC)宛、計9人が受け取り。量は多め。ホーム上で束を開いて、仕分けをしているのも確認できた。

14:20 野木

新聞販売店宛か、3束を3人が受け取り。

14:24 間々田

新聞販売店宛か、2束を2人が受け取り。

14:30 小山

新聞販売店宛か、4人が受け取り。量は多め。ホーム上で束を開いて、仕分けをしているのも確認できた。

14:36 小金井

新聞販売店(小金井YC)宛、3束を2人が受け取り。

14:45 石橋

新聞販売店宛か、3束を3人が受け取り。

14:51 雀宮

新聞販売店宛か、2束を2人が受け取り。

14:58 宇都宮

3人がホーム上で待機していて、上野から添乗してきた人を併せて計4人で列車から取り卸ししていた。

宇都宮駅宛と日光線

3番ドアに積載の新聞の束に表示されていた宛先で読み取れたものは、下記の通り。鹿沼中央YC宛には中継日光線の文字があったが、どの列車のどの箇所に積載しているのかは分からなかった。鹿沼東部YC、今市YCの束には日光線の文字はなかった。

  • 宇都宮東部YC
  • 坂田新聞店宇都宮
  • ND(NEWDAYS)宇都宮中央
  • 鹿沼中央YC(宇都宮中継日光線)
  • 鹿沼東部YC
  • 今市YC

宇都宮以遠宇都宮線

541Mからホーム上に取り卸しされた新聞は、1本後ろを走る熱海発黒磯行(1586E)に積み替えられる。1586Eは、宇都宮駅を15:16に到着し、15:25に発車する。

上野から来た人に替わり、同じ色の作業服を着用した人が添乗する。1ドア分のみを使用し、541Mと同様に、荷物室の幕を取り付ける。

1586Eに積み込んだ新聞の束で、宛先が読み取れたのは下記の通り。

  • 岡本、坂田新聞店宛、その他?
  • 片岡
  • 野崎
  • 氏家、新聞販売店(蒲須坂YC)宛
  • 矢板、たきやま宛、東京即売宛、その他?
    • 日経、夕刊紙も確認できたが、東スポが合計10束はあった。これが占める割合がとても多い。
  • 西那須野、新聞販売店(大田原YC、黒羽YC)宛
  • 黒磯、新聞販売店宛、黒磯弘済部(駅売店?)宛

黒磯駅到着は、16:18であり、3時間以上の列車旅となる。

今後の調査課題と反省

  • 日光線継走の実態を解明したいが、宇都宮に行く予定は無いし近くはないからなあ。
  • 細かい宛先や積載紙の情報は不十分ではあるが、積載方法を考えるとこれ以上は難しいところがある。
  • 文中に出てきた坂田新聞店は、宇都宮の市街地で10店舗を展開している毎日・下野を扱う新聞販売店。同社のホームページによると、毎日新聞は統合版、セット版のどちらを購読するか選ぶことができる。統合版を購読すると、統12版が届くのか、普通に13版か、はたまた統13版なんていうものがあるのかという点が気になった。
  • この新聞輸送列車に積まれた日経新聞が1版だったのか3版だったのかも気になった。
  • 2018年3月中に、高崎線の輸送状況についても調査した。他の記事は、タグ:新聞輸送列車をご覧いただきたい。

この調査は同人誌『名古屋地区 鉄道・バスでの夕間輸送の現状』(信三鉄道、NURFC現文研、2017/12)をコミケで手に取ったことをキッカケとして始まった。新聞趣味の各氏に感謝するとともに、更に調査が進むことを期待したい。

 

  • 2018/02/04 – 公開
  • 2018/04/09 – タグを設定
  • 2018/07/08 – 誤表記修正・関連記事のリンク追加

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