ウェブフォント、見出ゴMB31とじゅん

さくらのレンタルサーバのウェブフォント機能を利用

Webフォント – レンタルサーバーはさくらインターネット https://rs.sakura.ad.jp/function/webfont/

当ウェブページでは、今までも何回かウェブフォントを実装したりやめたりしてきていますが、2024年6月から使っているのは、さくらのレンタルサーバのおまけとして付いているウェブフォント機能です。おまけとはいえ、動作速度は十分速いかと思います。

提供書体数は太さの違いを含めて33書体。それほど多いわけではないので選定は難しかったです。

新ゴ系は豊富だけど仕事で毎日見ているのであまり使う気がしない、リュウミンは固すぎる印象、できれば本文用と太字と2種類ある書体をメインに据えたい、という思考過程で本文は「じゅん」、見出しは「見出ゴMB31」にしました。半年くらいはこの組み合わせでいくつもり。MB31は僅かに使った経験がありますが、じゅんを使うのは今回がほぼ初めてです。2024年7月時点でのこれらの書体の印象を記録しておきます(手抜きなので参考図版は用意していません)。

見出ゴMB31

見出ゴMB31 | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/1439

亮月製作所*書体のはなし・見出ゴシック体MB31 http://ryougetsu.net/sho_mb31.html

1961年に誕生した、写真植字用の書体です。もちろん今のデジタルフォントは当時の形そのままではありませんが、現在コンピューターで使える書体としてはベースとなるデザインが古い部類に属します。

背勢表現・角立てはありませんが、突き出し(セリフ)が強めに付けられており、線幅に若干の緩急があって、硬質な印象を受けます。

一方で仮想ボディーはかなり小さめで、特にひらがなは小さいです。漢字は7%くらい拡大すると、ゴシックMB101のDBとほぼ同じくらいの太さ・仮想ボディーになります。かなはフトコロ小さめ(ゴシックMB101は大きめ)に作られていることもあり、10%以上の差があるように見えます。

OpenTypeになるときに新たに作られたらしい欧文数字は、Helveticaに似ていますが、小文字の「g」が2階建てなのが大きな差異です。ディセンダ(小文字の足)が短めで、日本語書体の従属欧文らしさがあります。スミ取りの切り込みが細かく入っているなど、漢字やかなに比べて細部に気を使って設計されている印象です。ディセンダが短いので欧文を組むのには向いていなさそうですが、単語とか数字ならむしろこちらの方が日本語に調和しそうです。

突き出しや線の硬質さという「強く見える要素」、一方で仮想ボディーの小ささと、やや縦長でフトコロ狭めのひらがなかな、線もそれほど太くないという「弱く見える要素」の二面性があるのが、この書体の特徴と言えるのではないでしょうか。

使う際はツメ組みや字間調整をするのが良いでしょう。当サイトではCSSの機能でツメ組みをしています。キレイに決まっていますね。

じゅん

じゅん 34 | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ https://www.morisawa.co.jp/fonts/specimen/7440

亮月製作所*書体のはなし・新ゴシック(新ゴ) http://ryougetsu.net/sho_shingo.html

1970年代に誕生した、写真植字用の書体です。101、201、34、501という4つの太さがあります。末尾の「01」はいいとして、「34」って何なんでしょうね。他のどの書体とも異なるルールで太さが命名されており、謎すぎます。

OpenTypeフォントになるときに、写植用のデザインからかなり大きな変更がされています。漢字全体のバランス調整や、欧文数字の更新がされているようです。

時期的に写研のナールを多少は意識していたでしょうし、その代替として使われることもあった書体です。

亮月製作所*書体のはなし・ナール http://ryougetsu.net/sho_nahru.html

ナールと比べるとじゅんは字面・フトコロがやや小さめとなっていますが、それ以上の違いはひらがなや約物にあります。

ナールのひらがなは水平・垂直を意識した設計がされていますが、じゅんは直線がほとんどなく、直線の場合でも右上がりにしています。全体的には曲線を多用して丸っこい印象です。濁点(゛)と読点(、)も特徴的で、線幅に強弱がつけられています。ナールのように高度に整理された筆画とは方向性が異なり、人間味があります。

人間味とはいっても、デジタルフォントとして誕生した筑紫丸ゴシックや秀英丸ゴシックのような懐古的要素もあるデザインとも違います。言葉は悪いかもしれませんが、じゅんは単に古いという印象を私は持っています。そのためか、じゅんファミリーが新たに使われる機会は以前より減っているように思われます。ただ、情報で溢れているインターネットには、これくらいのゆるさが逆に面白いのではないでしょうか。

欧文は先述したとおり、OpenTypeフォントになるときに作られたようです。ディセンダ(小文字の足)が短めで、日本語書体の従属欧文らしさがあります(この1文はMB31のコピペ)。MB31と同じく丁寧に設計されている……と良かったのですが、実際はかなり微妙で、特に欧文小文字の字幅の印象が一定していません。「g」の形も何か変な気がするような。とはいえ、この書体で長い欧文を組むことはないし、これもゆるさだと思えればかわいく感じられてきます。

じゅんも見出しくらいならツメ組してもいいですが、本文だとかなり詰まって強い印象になってしまいました。当サイトではベタ組の行末ナリユキにしています。本当は行長を文字サイズの整数倍にできると美しいですが、そこまではプロでもなかなかしない難しいことなので、妥協しました。

  • 2024-07-05 公開