色々な、いろは歌(すべてのかなを使った歌)を紹介します。
鳥鳴歌(とりなくうた)
鳥啼く声す 夢覚ませ
見よ明け渡る 東を
空色映えて 沖つ辺に
帆船群れゐぬ 靄の中
とりなくこゑす ゆめさませ
みよあけわたる ひんかしを
そらいろはえて おきつへに
ほふねむれゐぬ もやのうち
新「いろは歌」、というジャンルになるかと思います。この歌を知ったのは、小塚昌彦氏の『僕のつくった書体の話』の85ページ。そこには、昭和39年に小塚氏がデザインした毎日新聞の「N2新仮名」と、「現用仮名」の見本が載っています。
明治36年に坂本百次郎氏によって作られました。「いろは歌」には入っていない「ん」が入っているのが特徴。かなにするとよく分かりますが、七五のリズムがビシッと揃っています。
歌っている情景としては、朝、目覚め、窓からは海が見える……そんな爽やかな朝です。意味としては取っつきやすい。
いろは歌
色はにほへど 散りぬるを
我が世たれぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず
いろはにほへと ちりぬるを
わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて
あさきゆめみし ゑひもせす
最後に「京」や「ん」を付けることもあるけど、これがいろは歌。簡単に言っちゃえば、諸行無常、仏教の世界を歌っています。深い文学の世界だけど、ちょっと難しい。10世紀末~11世紀半ばころに作られたらしいです。
あめつちの詞
あめ つち ほし そら やま かは みね たに くも きり むろ こけ ひと いぬ うへ すゑ ゆわ さる おふせよ えのえを なれゐて
天 地 星 空 山 川 峰 谷 雲 霧 室 苔 人 犬 上 末 硫黄 猿 生ふせよ 榎の枝を 馴れ居て
いろは歌の前に使われていたものです。イワタの見本帳で使われています。いろは歌の前に手習い用として使われていたそうな。
- 2014-06-21 ニシの雑記帳に公開
- 2017-06-12 修正のうえ公開