いろいろ調べている中で、イワタ丸ゴシックのことについての資料を見つけたので、ざっくりまとめておきます。
イワタ丸ゴシックとは
画面ディスプレイ上で読みやすいユニバーサルデザインフォント開発(<特集>タイポグラフィ研究の現在)
という論文に、イワタ丸ゴシックのことについても触れられていた。この論文の著者は宮崎紀郎氏、執筆時の肩書きは千葉大学グランドフェロー(教育研究推進員)である。
論文の主な内容としては、宮崎氏がデザインした「Lim Uni-Type」のデザインを解説するものである。「従来のフォントの例」として、同じく宮崎氏がデザインしたイワタ丸ゴシックの例が取り上げられていた。論文に書かれていた内容の要旨を掻い摘んで紹介すると、
イワタ丸ゴシックは:
- 1988年に完成した。
- 当初は細、中、中太の3ウェイトだったが、後に太が追加で開発された。
- (金属)活字用、ワープロ用(ビットマップフォント)の両方に使用できるように開発された。そのため、微妙な斜めの線は避けた。
- しかし、実際に金属活字にはならなかった。
- ベラム紙(厚手のトレーシングペーパーのとようなもの)に2インチ角で設計。定規と雲形定規、烏口で書いた。
- 字母は、使用頻度が少ない字から多い字へと書き始めた。
- スケッチから完成まで、文字書き職人3人との共同で2年かかった。
あのちょっと不器用さも感じられるひらがなのデザインは、斜めの線を避けるためだったのである。
また、時代的な点や、斜めの線を避けるという設計思想の点からも、平成明朝や平成ゴシックと似たような位置づけができるかもしれない。
販売サイト
イワタ丸ゴシックの販売サイトは下記の通り。イワタUD丸ゴシックとは別物なので注意されたい。
- 2016-01-30 初版
- 2016-11-02 修正
- 2017-12-12 微細な修正